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■『戦旗』1648号(12月5日)4-5面

 
反帝国際連帯で辺野古新基地建設阻止
 沖縄・琉球弧の戦場化粉砕へ

                               島貫結太郎
 




 日帝―岸田政権は辺野古新基地建設の設計変更の承認代執行への暴挙をはじめとする沖縄・琉球弧の戦場化を激化させている。台頭する中国への覇権争闘において、「台湾有事」を煽って敵視政策を強めることで、大軍拡―戦争態勢に突き進んでいるのだ。
 沖縄人民は、辺野古新基地建設阻止の闘いを堅持し「再び戦場にさせない」と島ぐるみへの闘いへと邁進している。沖縄を犠牲にしようとする日帝国家権力との対決が激烈にならざるをえない状況だ。
 帝国主義戦争に対して、労働者階級人民の解放―革命運動への推進か反革命への屈服か、決定的な岐路に立っている。沖縄人民の闘いに結合し、反帝国際連帯で、辺野古新基地建設阻止―「台湾有事」粉砕の反戦闘争を組織していこう。


●1 辺野古新基地「代執行」埋め立て阻止

 辺野古新基地建設は不屈の沖縄人民の闘いで大幅に遅れてきたことに対して、岸田政権は、設計変更の承認代執行へと突き進む暴挙に打って出てきた。
 玉城知事が下した設計変更の不承認処分に対して、またもや沖縄防衛局が私人になりすまして国交省へ行政不服審査請求をした。これを受けた国交相は取り消しの「裁決」をするとともに、「是正指示」を出したのだ。沖縄「県」は違法だとして提訴した。しかし、最高裁は不承認取り消し「裁決」に対する上告を八月二五日、受理しなかった。「是正指示」に対しては九月四日に門前払いしたのだ。まさしく政府と一体である司法の本性をあらわにした反革命判決だ。沖縄人民は、もはや公正公平な裁判という幻想すら持つことができない。
 岸田政権は「抵抗の手段はなくなった」「行政の長として義務を負う」等々と最高裁反動判決を下にすぐさま、知事へ承認を迫りつつ、責任を追及する。しかし、行政法研究者の有志は最高裁判決を「不合理極まりない」と批判し、代執行訴訟の提起に対しても「自治権を保障する地方自治法を形骸化させる」と懸念する声明を出した。賛同する行政法研究者が全国の四分の一にあたる一〇〇名以上にのぼった。
 しかし政府は顧みることなく代執行手続きに入り「勧告」「指示」を出して知事に迫ったが、知事は「検討する時間がない」「政府に話し合うことを求める」として実質拒否したのだ。圧力に屈せず拒否し続ける知事を沖縄人民は支持し、激励し始めている。全国からも支持が寄せられた。沖縄選出の国会議員、「県」議会議員、市町村議員も一丸となって支持を表明した。
 この機会を利用して自公など「県」政野党は不信任決議までも出したが、反対多数で否決された。
 政府は一〇月五日、ついに代執行訴訟を起こした。一〇月三〇日におこなわれた口頭弁論では知事自ら意見陳述し訴えたが、実体審理をせずに結審としたのだ(ただし、判決日は「後日」として明らかにせず)。「著しい公益侵害」など地方自治法が定める代執行の要件について、政府は、国の安全保障と普天間飛行場の固定化の回避という重大課題に関わるとし「著しく公益が侵害されるのは明らか」とした。それに対し沖縄「県」は過重な基地負担の中、さらなる基地負担は受け入れられないという「県」民の明確な民意は「公益」として認められなければならないとした。日帝国家権力の利益に沖縄人民の民意で対峙し、沖縄人民の尊厳を示したのだ。
 「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」は知事とともに闘う行動を連続して起こした。
 代執行訴訟が起こされた直後の一〇月七日の県民大行動には八〇〇名が結集。一〇月二一日には沖縄戦犠牲者の遺骨が混じる土砂を辺野古新基地建設の埋め立てに使われることに反対する集会を開催し、六五〇名が結集した。一〇月三〇日の代執行訴訟の口頭弁論では五〇〇名の結集で裁判所前集会をおこない、一一月五日には「国による代執行を許さない!デニー知事とともに地方自治を守る11・5県民大集会」に一八〇〇名が結集した。同県民大集会で知事は、「わったーはてぃーちやいびんどー。私たちは一つです。絶対に負けてぃーないびらんどー。一緒に頑張っていこう」と、圧力に屈せず闘いぬく決意を鮮明に示した。参加者も知事とともに闘いぬこうと力強く決意した。
 「県」内市町村議員一〇〇人余が賛同する「辺野古新基地建設に反対し、沖縄の自治の底力を発揮する自治体議員有志の会」が九月一六日に結成され、オール沖縄会議と協力して集会を開催している。
 一方、防衛省―沖縄防衛局は判決から大浦湾側の埋め立てに着手する、あらゆる策動を開始した。既成事実を積み重ねて知事に圧力をかけ、沖縄人民にあきらめさせようとしている。大浦湾埋め立ての土砂の「仮置き」、大浦湾埋め立て業者の契約、そして沖縄「県」が許可せず裁判となっているサンゴの特別採捕をしないで護岸工事が可能との判断をしている。設計変更が承認されていないのにだ。
 さらに、政府―沖縄防衛局は、工事を強行してきた唯一の根拠としている知事仲井真(当時)の埋め立て承認の前に、軟弱地盤が存在し基地の設計には追加のボーリング調査などが必要と結論づけていた。しかし、追加調査をしないまま地盤に大きな問題はないと沖縄「県」に説明して手続きを進めていた。この事実が共同通信の情報公開でわかった。埋め立て承認後に追加調査し、情報公開で軟弱地盤の存在が明らかにされたことで設計変更の申請へと至ったのである。沖縄「県」(沖縄人民)をだまして埋め立て承認を得ていたのだ。埋め立て承認そのものが崩れたにもかかわらず、政府は問題ないとしている。
 この新基地建設のデタラメで強引な状況に在沖米軍幹部は、軟弱地盤の影響に「仮に修正できなければ影響する」とし、滑走路二八〇〇メートル、高台の利点をかかげ、普天間基地の機能維持の是非を「軍事的な立場からイエス」と回答。「新基地完成は早くて二〇三七年」「移設が終わるまでは普天間基地を維持する」とも吐露したのである。照屋義美副知事は「日米両政府が明かさない本音が図らずも米軍から出た」「沖縄だけに基地を押しつける構造的差別が改めて示された」と怒りを露わにした。政府は「辺野古唯一」を繰り返してごまかすのみだ。
 辺野古新基地建設の強行は、戦争体制づくり―琉球弧の戦場化と一体であることをさらけ出している。沖縄人民の団結と全国の連帯で阻止し続けていることが、戦争体制づくりを粉砕する展望を示してきているのだ。


2 戦争体制づくりと沖縄人民の決起

軍民混在の戦争訓練を強行

 「台湾有事」を口実とした岸田政権の戦争体制づくりは枚挙の暇もない。知事や住民の反対の中で強行した連続した戦争訓練の暴挙を弾劾する。
 陸上自衛隊と米海兵隊による大規模な日米共同訓練「レゾリュート・ドラゴン(RD)23」が一〇月一四~三一日におこなわれた。「離島奪還」の過去最大規模の日米共同訓練だ。
 沖縄島では、一〇月二〇日、自衛隊と米軍の車両がうるま市の公道を使って、火薬類の搭載を示す「火」の表示を掲げたコンテナを米軍ホワイトビーチから嘉手納基地へと輸送した。
 石垣島では、沖縄「県」が自粛要請していたにもかかわらず、陸自のMVオスプレイとしては初めて石垣空港に一機飛来させ負傷者の搬送訓練がおこなわれた。
 さらに、一一月一〇日から二〇日までは、陸海空三自衛隊に米軍も加わった最大規模の「自衛隊統合演習」が沖縄をはじめ全国各地で展開された。
 与那国島では、一一月一二日に町主催の防災訓練が自衛隊の装備品を使っておこなわれた。陸自の離島防衛専門部隊「水陸機動団」も出動させ、ヘリで患者を搬送する訓練もおこなおうとした(結局、雨天で中止)。町職員や町民は参加してなく、自衛隊員がその役割を担った。「災害」と「有事」を混在させた、まさしく、軍隊と住民が混在する戦争訓練そのものだ。住民からは不安と抗議の声が上がっている。
 沖縄島では一一月一〇日、隊員約一八〇人と車両約五〇台を載せた民間船舶が中城港に接岸した。車両は陸自那覇基地などへ公道を走行して移動した。一一日未明には、陸自の一六式機動戦闘車(MCV)が空自の那覇基地から公道を横断して陸自の那覇訓練場に移動している。
 岡山空港、大分空港、奄美空港、徳之島空港では自衛隊機使用訓練が強行された。攻撃されるなどして基地の滑走路が使えない想定で、F15戦闘機によるタッチアンドゴーや燃料補給などがおこなわれた。
 空港、港湾、公道を日常的に使える訓練を強行することで、使えるように整備させるとともに、自衛隊が社会生活に入り込み戦前へと歩を進めているのだ。
 訓練の合間にも、一一月五日におこなわれた「石垣島まつり二〇二三」の市民パレードに、陸自石垣駐屯地隊員が背嚢を背負い迷彩服姿で行進したのだ。那覇の第一五音楽隊と合わせて約一二〇人が参加。一般イベントでのパレードは初めて。八重山防衛協会、八重山自衛隊家族会、隊友会八重山支部が「日の丸」の小旗を配り、振らせることを強要したという。
 その一環として、政府は琉球弧を中心に、民間インフラを自衛隊や海上保安庁が使用しやすくする環境づくりに取り組んでいる。防衛省などが使用したい空港や港湾を「特定重要拠点」に指定し、優先的に予算をつける事業だ。実質、自衛隊が円滑に利用できることが条件となる。竹富町では、多くの人が行き来できるようにと波照間空港の滑走路延長を求めているが、「特定重要拠点」に指定されたことで自衛隊の使用が条件にされようとしている。
 与那国島では、樽舞湿原をつぶして艦船が停泊できる港湾施設にしようとしている。船舶の接岸場所先には、地対空誘導弾部隊の配備に向けた与那国駐屯地の拡張予定地などがある。しかし樽舞湿原は琉球列島最大級の湿地帯として知られており、水生・半水生昆虫が多数生息し、環境省の「生物多様性の観点から重要度の高い湿地」にも選定されている。与那国島固有の貴重な自然を破壊することになると自然環境の専門家から警告され、保全が求められているのだ。
 他にも自衛隊員のための血液製剤の備蓄、避難シェルターの設置なども進められようとしている。これから宮古島以南の住民と観光客一二万人を九州七県に避難させる計画を策定しようとしているが、机上の空論だ。住民の生活と生命を守る手段は、戦争をしないことだ。

覇権争闘ゆえの策謀「台湾有事」

 日米両政府は「台湾有事」をもって戦争体制へと一挙に突き進もうとしているが、その根拠は米帝が中国と世界の覇権を争っているからだ。
 一一月一七日におこなわれた中国の習近平国会主席との米中首脳会談で、米帝バイデン大統領は、米国の従来の「一つの中国」政策に変わりはないとの立場を説明。「台湾海峡の平和と安定」を維持することの重要性を強調、中国が台湾海峡周辺での軍事活動を自制することも求めたと報道されている(一一月一七日付『朝日新聞』)。中国側によると、習は、米側が「台湾独立」を支持しない姿勢を具体的に示すよう求め「台湾の武装をやめるべきだ」とも述べた(同)。
 バイデンが大統領に就任して以降、「民主主義と専制主義の対決」を掲げてきた。ロシア、朝鮮民主府議人民共和国、中国等への圧力を強め、他帝などとの同盟関係を強化して世界的な覇権を回復し、権益を維持することに奔走してきた。その中に、中国の台頭を抑え米帝の権益を防衛するための戦略を強めてきているのである。
 中国が軍の近代化目標として掲げる二〇二七年を米帝は、中国が「台湾有事」の際にアメリカの介入を抑止できるだけの軍の態勢を整えるという目標に向けて取り組みを進めていると分析(二〇二三年三月八日公聴会で公表した、世界の脅威を分析した年次報告書)。中国は、台湾海峡の「中間線」を越えた中国軍の戦闘機の飛行や、台湾上空を通過するミサイルの発射を増やすなど、より強い措置をとるおそれがあるとしている。「二〇二七年まで、あるいはそれ以前の台湾侵攻」との見方は、必ずしもバイデン政権の統一的な見解ではないが、いずれにせよ中国に対抗するために戦争態勢づくりに邁進しているのだ。その米帝の戦略のもとに日米同盟関係を強化し、日帝を戦争できる国家へと引きずり込んでいるのである。その一環として、約三千五〇〇億円にものぼる長距離巡航ミサイル「トマホーク」の売却など高額な軍事物資を大量に買わせている。
 日帝も経済力が相対的に衰退していく中で生き残っていくためには、帝国主義列強の一員としての軍事力を備える国家になることを唯一の道としている。その要として自衛隊を戦争できる軍隊へと再編しようとしているのだ。その策謀として「台湾有事」がある。
 とりわけ、その中で大日本帝国の再生を夢見て浮足立って戦争挑発の尖兵と化しているのが「戦う覚悟」暴言をした自民党副総裁・麻生ら極右反動勢力だ。
 米帝の権益のため、日帝国家権力の野望のための戦争態勢を粉砕していこう。

③島ぐるみの闘いへ

 島ぐるみの闘いで進めてきている辺野古新基地建設阻止闘争を堅持しながら、各島々で粘り強く闘いを続けている。
 「レゾリュート・ドラゴン」に対して、沖縄島では一〇月一二日、沖縄市での「戦争準備の日米合同訓練反対!弾薬庫建設・ミサイル配備をゆるさない市民集会」が一〇〇〇名の結集でかちとられた。同メンバーは二〇日の公道を使った輸送訓練に対してもホワイトビーチ・ゲート前で座り込みをして阻止行動も闘い抜いている。石垣島でも一四日、「米軍・オスプレイ来るな 石垣市民大集会 島を戦場にさせない、日米共同訓練反対」に一八〇名が結集した。
 一方、「台湾有事」が叫ばれ始めたことで「沖縄戦を繰り返すな」「戦場にさせない」と島ぐるみの闘いが求められ、積み重ねてきている。九月二四日に設立・キックオフ集会を開催した「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」はより規模を大きくし、一一月二三日に「県民平和大集会」を奥武山公園陸上競技場で開催した。集会は全国連帯として、参加結集を呼びかけるとともに、全国各地での呼応した行動を求めた。県民平和大集会に向けた行動が各地で取り組まれ、首都圏では「東アジアに平和を!琉球弧の島々を戦場にさせるな!新宿アクション」が一〇月二一日にかちとられた。同県民の会の瑞慶覧長敏・共同代表と下地茜・宮古島市議がかけつけ訴えた。また、台湾から労働人権協会、韓国からキム・ウニョン民主労総副委員長からのメッセージが寄せられ、注目された。そして当日にも東京の11・23国会正門前アクションをはじめ、福岡、大阪、京都、名古屋の主要都市などで同時行動がかちとられた。沖縄の闘いに全国各地で立ち上がる状況をつくりだしている。


●3 反帝国際連帯で基地強化阻止―戦争態勢粉砕

 中国敵視で排外主義を煽る戦争体制づくりを粉砕する決定的な鍵は、反帝国際主義で闘い抜くことである。
 「琉球処分」の琉球武力併合から沖縄「県」としての支配のもとに、日帝の南進化政策による移民と戦争動員にかりだされ、その結末として天皇制国家体制維持の捨て石であった沖縄戦。日本国民として同化を強制され日帝のアジア侵略の尖兵とされた一方で、差別され殺されたのだ。まさしく天皇制・天皇制イデオロギーによるアジア人民への蔑視、敵視による分断こそが、戦争動員へと至らせ、沖縄戦の極限状態が生み出されたのである。
 沖縄人民は沖縄戦を教訓に、すでに中国、台湾との交流、連帯行動を開始している。
 九月二日に沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さんと「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」共同代表の清水早子さんが招かれ、台湾労働人権協会の集会で講演し論議を深めた。一一月二一日には「ノーモア沖縄戦命どぅ宝の会」が台湾労働人権協会の方を招き集会を開催した。その台湾の先進的人士は一一・二三「県民平和大集会」にも韓国からの仲間たちとともに共に合流し連帯を確認している。
 「本土」の人民こそ、琉球弧の戦場化―戦争体制づくりに対する立ち上がりが決定的に重要だ。中国敵視の排外主義が蔓延している状況を覆していくためには、この沖縄の現実に、沖縄人民の闘いに結合するともに、東アジア諸国・地域の人民との連帯をつくり強めることで初めて可能性が見出せるのだ。
辺野古新基地建設阻止―沖縄・琉球弧の戦場化粉砕に立ち上がろう! 沖縄―「本土」貫き沖縄解放闘争の前進をかちとろう! 反帝国際主義で帝国主義戦争を阻止しよう! 沖縄解放―安保粉砕―日帝打倒・米帝放逐へと邁進しよう!

 


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